calibrite colorchecker STUDIO レビュー

写真・映像制作業界向けのキャリブレーション機器が新しく設立されたキャリブライト社(calibrite)から calibrite colorchecker のブランドで販売が開始された。早速、日本総代理店である株式会社ヴィンチェロ様からお借りして評価した。


colorchecker STUDIO はサポートソフトウェア ccSTUDIO と一緒に使うことでディスプレイのキャリブレーションに加えてプリンタープロファイルを自作することもできる高機能な製品です。そのためお勧めしたいユーザー層も写真プリントを重視した方々となり、ディスプレイも EIZO ColorEdgeシリーズのようなハードウェア・キャリブレーションが可能なモニターがお勧めです。評価にはWindows 10ノートPCにColorEdge CS2420を接続してデュアルモニター環境とし、双方をキャリブレーションするとともにカスタムプリンタープロファイルを作ってみた。

デュアルモニター環境でプリントにこだわる方にはColorEdgeモニターも含め理想的な機材選択と言えます。


 デュアルディスプレイの正しい使い方


ノートPCをccSTUDIO で、CS2420 を ColorNavigator 7 でキャリブレーション

皆さんはディスプレイは1台ですか、それとも作業効率を重視して2台以上のディスプレイをお使いですか。私は事務所ではノートPCにColorEdgeを1台つないでColorEdgeのみに表示する設定で使っています。ノートPCの小さい青っぽい画面が好きになれず、見やすい大きな画面のColorEdgeを単体で使います。大きな見やすい画面を正面にして視線を大きく動かす必要が無いのでこの設定が好きなんですが、実はもっと重要な理由があります。それは画像を表示するColorEdgeの白やグレーがニュートラルに見える状態を保つためです。人間の視覚には紙やディスプレイの画面の白い部分を見ていると最初は青っぽい黄色っぽいと感じても次第にそれが白に見えてくるという「色順応(chromatic adaptation)」という機能があります。白に正しく順応することではじめてその他の色を正しく見ることができます。つまり、ColorEdgeの横に置かれた青っぽいノートPCの画面はColorEdgeの白に順応する邪魔になると言うわけです。

でもノートPCの画面でBridgeを表示してPhotoshopはColorEdgeで表示するなどのデュアルディスプレイで使いたい方はどうすればいいか?ノートPCの画面もColorEdgeの白色点と同じ色味にキャリブレーションするのが正しい使い方です。

 

今回は測色機として colorchecker STUDIOを使用し、ノートPCは ccSTUDIOで、CS2420は ColorNavigator 7 でキャリブレーションしました。ノートPCの輝度調整ステップが大きいので輝度は若干ズレる事にはなりますが、白色点はしっかり合った状態になりますので視線をノートPCとColorEdgeの間で行き来しても安定して同じ白色点に順応して作業することができるようになります。

 二つのディスプレイをキャリブレーション


ノートPCのキャリブレーションは ccSTUDIO を使うので、キャリブレーションの手順は先の colorchecker DISPLAY の場合と全く同じです。ただし今回はプリントも意識した作業環境なのでディスプレイの白色点は「カスタム」を選んだうえで「CIEルミナントD55」を選び5500Kに調整します。

 

 

ColorEdge CS2420の方もColorNavigator 7で白色点は5500Kとして調整目標を設定しキャリブレーションします。

 

プリントとのマッチングはD50(5000K)じゃないの?と思われる方も多いと思いますが、常にプリントとのマッチングを行うわけではなく写真のセレクト・レタッチをする段階では先に説明した「ディスプレイの白色点に順応する」ほうが最も重要なので、私の場合は経験上5500Kとしています。

プリントとディスプレイのマッチング(プリントを厳密に評価する)環境はディスプレイを5000Kに調整しても不十分でColorNavigator 7の手動調整機能で白色点を微調整して行う(用紙の色味は様々なので)ので5000Kにこだわる必要は無いんです。当然ですが、5000Kに調整したディスプレイの方が白が心地よく見える(順応しやすい)場合は5000Kで調整してください。

 プリンターと用紙の組み合わせごとのプリンタープロファイルを作ってみる


写真画像のレタッチを行うディスプレイ環境を整えたら、プリンタープロファイルをつくってみましょう。プリンターメーカーの純正用紙ではドライバーをインストールした段階でプリンタープロファイルが使える状態になります。用紙メーカーのホームページからダウンロードして使うこともできます。プリンタープロファイルが提供されていない「プリンターと用紙の組み合わせ」の場合はカラーマネジメントを運用して効率よくプリント作品を制作するには必須となります。

今回は例としてCANON PRO-1000と伊勢和紙Photo雪色を使いましたが、この組み合わせのプリンタープロファイルは伊勢和紙さんから提供されています。

ccSTUDIOを起動して測色機はcolorchecker STUDIOを選び「ワークフローセレクター」で「カラー印刷」をクリックします。

プリンターを選択、用紙サイズをA4、用紙の記述は用紙の名前を入れて「ページ 1/1」の下の「印刷」ボタンをクリックします。

印刷設定では「用紙の種類」を一番適した用紙から選択、印刷品位はできるだけ高い設定を選択します。

「色/濃度」は「マニュアル調整」をチェックして設定画面を表示し、「マッチング」タブで「なし」を選択します。これはプリンタードライバーの色づくりが働かないカラーパッチをプリントするためです。

測定用カラーパッチのページがプリントされたら10分以上乾燥させたうえで測色します。

測定の手順はccSTUDIOの中で動画で見ることができます。その通りに測定すれば迷うことなく測定できます。

 

測定が終わるとしばらく時間の経過後2枚目のページをプリントする画面になりますので1枚目と同じ設定でプリントします。

 

これも10分以上乾燥させたうえで測定します。

2ページ目の測定が終わるとプリンタープロファイルを保存する画面になりますので分かり易い名前を付けます。漢字かなはプリントの時点で文字化けしますので半角アルファベット・数値・記号を使います。例として今回は「isewashi_yukiiro_PRO-1000_washi」と付けます。保存すれば所定のフォルダーに保存されて、プリントの際の設定画面で選択することができます。

 プリンタープロファイルを使ってプリントし評価する


作成されたプリンタープロファイルの精度を評価してみましょう。EIZOのホームページからダウンロードしたプリント評価用のぺージをPhotoshopによるカラー管理でプリントします。マッチング方法は和紙の場合は「知覚的」を選ぶと好ましいプリントになります。

 

マッチング精度の検証は適切な機材と正しい調整・設定が必要です。

 

*平均演色評価数(Ra)が95以上の光源を準備し(EIZO LEDスタンド Z-208PRO-5000K がお勧め)

*ColorNavigator 7の手動調性機能でCS2420の白色点を用紙の白に合わせます

*Photoshopの「表示」-「校正設定」-「カスタム」でシミュレーションするデバイスに作ったプリンタープロファイルを設定、マッチング方法は「知覚的」を選び、表示オプションでは「黒インキをシミュレート」にだけチェックを入れて「プレビュー」をオンにします

*プレビュー画面とプリントを比較評価します

 

10万円前後で購入できる機材としては十分に精度の高いプリンタープロファイルが作れることを確認できます。